メンズ長財布や小銭入れを選ぶのであれば、革は非常に重要なポイントです。
素材を選ぶポイント(本革と合皮の違い)
ナイロンや合成皮革であれば安く手に入りますが、長く使いたいならオススメできません。
本革(合皮じゃない本物の革。天然皮革とも言う。)のメリットとデメリットは、以下の通り。
★本革のメリット
- 丈夫で長持ち(劣化しづらい)
- 経年変化を楽しめる
- 使うほどに手に馴染む
- 革本来のキズやシワが楽しめる
- シボ(革特有の凹凸)が自然
- 革特有の匂いが良い
- 種類が多く選んでいて楽しい
- 高級感がある(合皮のように安っぽくない)
★本革のデメリット
- 高い
- 使わないときはメンテナンスが必要
- 安いものは傷やシワが多い
- 種類が多く選ぶのが難しい
- 加工によっては水に弱い
本革は牛や羊、豚など、生きた動物の皮から作られているので、その動物が生きていた頃の傷やシワ、血筋などが見られるのが特徴。
革が好きな人はこれが良いと思っていますが、興味がない人からすれば「ただの傷」と感じるので、好みが分かれるところです。
「本革はメンテナンスが必要」というのは大きなデメリットのようにも思えますが、基本的には手の脂で十分なので、使っている間はほとんど必要ありません。
「水に弱い」とありますが、多少であれば濡れてもすぐに拭けば問題ないので、それほど敏感になる必要はないでしょう。
1番のデメリットは価格が高いことなので、
- 予算3000円までならナイロンや合皮
- 3000円以上OKなら本革
という基準で選んで良いと思います。
私は当然本革をおすすめしていますが、近年では専門家でも本革と見紛うほどの合皮も開発されているので、価格重視なのであれば合皮で十分です。
本革は7種類を覚えよう!
革の種類はいろんな方法で分類されるので結構ややこしいのですが、ひとまず以下の6種類を覚えておけば大抵の物はクリアできます。
- シンプルな牛革
- コードバン
- ブライドルレザー
- イタリアンレザー
- ヌメ革
- エキゾチックレザー
牛革の特徴
世界で1番多く流通しているのが、基本となる牛革です。キメが細かくなめらかな質感ですが、成牛や仔牛、また雄(オス)か雌(メス)かによっても大きく異なり、実はかなりの種類になります。
牛以外の豚や羊、鹿もそれぞれ違った特徴がありますが、加工法によっても仕上がりが大きく異るので、「この革はこういう特徴がある」というのは現段階では覚える必要はないでしょう。
コードバンの特徴
コードバンは「革のダイヤモンド」「革の王様」と言われる革で、なんと一般的な牛革の約2倍もの硬さを誇ります。
馬の臀部(お尻)の皮から取れる希少価値の高い革で、価格も高額なものが多いです。深みのある漆黒の光沢と色味が特徴。
ブライドルレザーの特徴
ブライドルレザーはイギリスの伝統的な革で、英国王室に上納される革製品に使用されていることでも有名です。
元はイギリス貴族の馬具革として製造されており、一般的な牛革よりも非常に強度が高いことが特徴ですね!
革に染み込んだ蜜蝋(ミツロウ)が表面ににじみ出ることで、美しい白い模様(ブルーム)になる。
イタリアンレザーの特徴
イタリアは世界的に見ても有名なタンナー(革を作る業者)が多く、革の本場と言われています。
そんなイタリアの革は、柔らかい、発色が良い、などの特徴があり、総じて「イタリアンレザー」と呼ばれています。
基本的には牛革を加工したもので、イタリア伝統のバケッタ製法などが有名です。
ヌメ革の特徴
ヌメ革とは、牛などの原皮を加工したもので染色や塗装をする前の革のことを指します。
ヌメ革は染色や塗装がされていないので、皮が持つシワや血筋など、皮本来の風合いを楽しめるのが特徴です。
染色や塗装をしていないのでその分変色しやすく、太陽の光を浴びたり、手の脂がなじんでくると綺麗な飴色に変化します。
何年も使用して革がほぐれてくると、手になじむようにしなやかになり、色の変化と相まってとても温かみのある質感を感じることができます。
エキゾチックレザーの特徴
・クロコダイル(ワニ)
・リザード(トカゲ)
・エレファント(象)
・パイソン(蛇)
・オストリッチ(ダチョウ)
・シャーク(サメ)
など、爬虫類や希少性の高い動物の革のことを総称して「エキゾチックレザー」と呼びます。
希少価値が高く、価格が非常に高いのが特徴。
独特な模様や質感が魅力で、好んで選ぶ人が多い反面、苦手な人も多いためプレゼントには向きません。
国内ブランド皮革の特徴
最後に紹介したいのが、ブランドごとに開発している「国内のブランド皮革」です。
革は鞣しの手法や染色方法によって、様々な特性が表れます。この特性を利用して、ブランド独自の革を開発し、商品のウリポイントとしていることがあるのです。
革の偽物には要注意
ただし!!注意点として、革を見分けるのは慣れれば簡単ですが、モノによってはプロでも判断が難しいものがあります。
ブライドルレザーやコードバンなどの特徴的な革であればすぐにわかりますが、イタリアンレザーや国内有力タンナーの栃木レザーなど、革を間近で見ても本物かどうかわからないことが多いです。
公式サイトから購入すれば偽物の心配はありませんが、よくわからない無名のブランドで購入する場合や、Amazonや楽天市場、メルカリなどで購入する場合は、表記偽装やフェイクに十分気をつけなければいけません。
「姫路の新喜皮革が鞣した最高品質のレザーです」と書かれていても、それ本物ですか?と疑ってかかるべきということです。
自信がないのであれば、今日紹介したような有名ブランドの公式ストアから購入するようにしましょう。
革の加工方法による違い
基本的に名のあるブランドの公式ストアから購入しておけば「実は革が偽物だった」なんてことはないので、安心して見た目や風合いで選ぶことができます。
そして、その見た目や風合いを大きく左右するのが、革の加工方法です。
ただ、革の加工だけで1冊の本が書けてしまうくらい奥が深い世界なので、今回は小銭入れを選ぶ際に最低限知っておくべきポイントをご紹介します。
銀面か床面か
皮の表面部分を鞣した革を銀面(これを本革と言う)、表面部分を削って2層目を採取して鞣したのが(床面/とこめん)と言います。経年変化を楽しみたいなら銀面一択。床面は強度が低いため、ウレタンなどで加工されていることが多い。
植物タンニン鞣しかクロム鞣しか
天然の植物性タンニンによる鞣しで革を製造することで、革を柔らかく長持ちするよう加工する手法。染色しやすいため色鮮やかで、しかも丈夫で長持ちし、さらに革自体が経年変化する。生産にコストがかかるため比較的高額。
化学薬品を用いた科学的な製法による鞣しを「クロム鞣し」と言う。伸縮性が良く、水を弾きやすい。
どちらもメリット・デメリットがあるが、革を楽しみたいなら「植物タンニン鞣し」一択です。
起毛の種類
ウェード、ヌバック、ベロア、バックスキンなど、革をヤスリがけなどで擦って起毛させていることがある。どれも手触りが非常に良く、さらさらでしっとりとした質感。使うほどに毛羽立ちが収まって光沢が出る革もある。私が好きな「ナポレオンカーフ」という革は、起毛+オイルをたっぷりと染み込ませたオイルドヌバック。
⇒「ナポレオンカーフ・アドルフコインパース超詳細レビュー【写真付き】」
シボ
革表面に見られる、特有の凹凸をシボと言います。一般的な牛革は小さいつぶつぶが多く、繊細な水の流れを表現した水シボなども人気です。クロコなどのエキゾチックレザーは、牛革とはまったく違うシボなのでひとめでわかる。革を樽に入れて収縮させるシュリンクレザーなども人気。
染色
革本来の味を楽しみたいのであれば、皮が持つシワや傷、トラ、血筋と言った特徴を残したまま染め上げる「染料仕上げ(アニリン仕上げ)」がおすすめ。経年変化も楽しめるので、小銭入れオタクは染料仕上げ一択。「顔料仕上げ」は化粧をベタっと塗ってしまうようなイメージで、革の良さも悪さも無くなってしまう。傷やシワをすべて隠せるので、製造コストが抑えられる。顔料仕上げは水にも強くなるのが強み。
コバの処理
革小物の最終工程として、鞣された革を適度な大きさにカットして組み立てていくという工程があります。革をカットしたときに生まれる切れ端(コバ)は、切りっぱなしだと腐食したり乾燥したりボロボロになりやすいので、「特殊な薬品を塗って削って」という作業を繰り返し行うことで、美しく丈夫なコバになります。かなり時間がかかるめんどうな処理なので、安い小銭入れはここざ雑になっていることがあります。
まとめ
いろいろ専門的な事を言いましたが、ひとまず「植物性タンニンによる鞣し+染料仕上げ」だけ覚えておけば、あとは自分の好みの革を選べるはずです。あとちょっとこだわりたいという人は、コバ処理もチェックしてみると幸せになれるかもしれません。
シボや起毛は完全な好みになるので、直感で「カッコいい!!」と思ったものを選べばいいと思います。
「カッコいいと思って買ったものが実は顔料染めで、経年変化も何も楽しめない」ということにだけならないように注意しましょう。
ちなみに、私がおすすめしている小銭入れはほぼこのパターン(植物タンニン+染料仕上げ)なので、ぜひ参考にしていただければと思います。